たまたま、左手の届く範囲に
金原ひとみの「蛇にピアス」がおいてあったんですよ。
何の気無しに読んでみたら、成る程興味深い。
50ページくらいしか読んでいないのだけど、
序盤のテンポがいい。
良い文章の条件の一つに、つかみ、ははずせない。
それはばっちりだったと思う。
過去形で終わる文章の連続は、次の行への抵抗を軽くする。
時間的にも、ほんの数行で日にちが変わる。
純粋にうまいと思った。


初めてこの本を読んだのは、そう中二の頃だっただろうか。
芥川賞に若い子が云々と騒がれていたのだ。
文藝春秋で両方とも読み、あのころの自分はこの作品に異を唱えた。
性行為ばっかり模写してりゃいいって思ってんじゃねぇよ。ってね。
確かに中二の発想だね。
当時の理解を超えていたことは確かだろう。
見えやすい部分しか読めていなかった。


しかし今回はどうだろう?
思うに、ある部分で綿矢りさの「蹴りたい背中」なんかとにているのかも知れない。
本一冊を要してでしか表現できない、
微妙で曖昧で、掴もうと思うとすり抜けてしまうような感情を表しているように思えた。
買いかぶりすぎだろうか?


しかしながら、
やはりまだ理解できていない。
少なくとも、語彙の共有が難しい。
「原宿系」なんて表現があったのだが、なんじゃそりゃ?って思う。
恐らくこれからまた4年たったとしても解らない部分はあるのだろう。
そんなことを言っては、解らないところだらけだと言うのが本当のところだ。
神に関する記述が多いが、それが何を比喩しているのかが解らないし、
最後まで読んでないのもあるが、蛇にピアスの比喩するところも解らない。


何にせよ、初めて読んだときから時間がたって、
新しく興味を持てたと言うことが、何とも嬉しく思うのだ。
いつか余裕が出来たら、吟味し尽くしてみたいと思った。